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ドウェイン・ケーシーが声明を発表。差別の解消と変革を呼びかける

ドウェイン・ケーシー 声明

黒人男性ジョージ・フロイド氏が亡くなった事件をきっかけとした抗議運動は、アメリカ全土へと拡大している。本来、人々を落ち着かせる役目を果たすべきドナルド・トランプは発砲を示唆するツイートによって火に油を注ぐ始末。事態が沈静化するまでにはまだ時間がかかりそうだ。

レブロン・ジェームズ、ステフィン・カリーなどNBAを代表するスター選手はSNSを通じてアフリカ系米国人への差別に対する怒りを表明。セルティックスのジェイレン・ブラウン、ペイサーズのマルコム・ブログドンなど、平和的な抗議活動に自ら参加する選手も出てきている。

数少ないアフリカ系米国人のヘッドコーチであるドウェイン・ケーシーもまた、差別に対する怒りを表明しているNBA関係者の一人だ。

ケーシーHCは指揮をとるデトロイト・ピストンズを通じて声明を発表。自身の経験をもとに、人種差別がはびこるアメリカ社会に「変革」が必要であると訴えた。

声明の全文は以下の通り(拙訳)。

デトロイト・ピストンズHC、ドウェイン・ケーシーによる声明文

「54年前、私はケンタッキーの田舎に住む8歳の少年でした。当時は人種によって学校を分離する制度が廃止された時期で、私は白人学校に入学しました。私は自分という存在が求められていないと感じたし、歓迎されることもありませんでした。当時は、自分がどのように扱われたかを記録する携帯電話もなければ、24時間365日放送のケーブルテレビ局もありませんでした。過酷な現実を記録し、サポートの表明や非難の声を拾い上げるソーシャルメディアもありませんでした。それでも、私は8歳だった頃の気持ちを正確に覚えています。私は自分が無力であると感じていました。自分という存在が人々の目に映っていないし、話を聞いてもらえていないし、理解されていないとも感じていました。かつて私がコーチを務め、故郷と読んでいた街・ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が殺害されました、その後の数日間に展開された一連の出来事は、どれだけ多くの人が私と同じような気持ちを抱き続けているかを教えてくれるのです。無力感、苛立ち、不在感、怒り。

このリストは増え続けているように見えます。人々の怒りが爆発するのも当然でしょう。アフマド・アーベリー(Ahmaud Arbery)、ブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)、ジョージ・フロイド(George Floyd)。社会の不公平は続いており、変化は起こっていないように見えます。

あれから54年後、私の息子は8歳になりました。彼が育っている世界を見て、この社会にはどれだけの変化が訪れたのだろうかと考えます。息子はどれだけの頻度で見た目で判断されているのだろうか? 存在を無視されることなく、聞く耳を持たれ、理解される世界で育っているだろうか? 彼は無力さを感じているだろうか? 彼はジョージ・フロイドやアフマド・アーベリーのように扱われるのだろうか? 息子の8歳の世界を私が育った当時の世界よりも良くするために、この54年間、私たちは何をしてきたのだろうか? 私たち全員がより良い人間とならなければならないし、より良い行動をしなければなりません。

私たちはお互いの見方、聞き方を変えなければなりません。司法制度を公正なものにするための解決策を共に見つけなければなりません。黒人、白人、褐色の人々が協力して新しい答えを見つけなければなりません。誠実さと透明性なくして、有色人種の人々が人生のあらゆる場面で直面してきた制度的な問題を解決することはできないのです。私たちは、なぜ今この瞬間、人々が限界に達しているのかについて理解しなければなりません。そのために必要なのは、真の意味での共感です。 文化の転換と行動が必要です。さあ、不正義をなくしましょう。次の世代が不公平に扱われる世界に住み続けることを甘受してはなりません。今こそ真の変革の時です」

参照:Statement From Detroit Pistons Head Coach Dwane Casey | Detroit Pistons

かつて積水化学、いすゞ自動車で指揮をとった経験があり、その後も来日してクリニックを開催するなど、日本と関係の深いドウェイン・ケーシー。少年時代から差別を経験し、終わりの見えない多くの悲劇を目の当たりにしてきた彼の言葉は、決して差別と無縁ではない太平洋を挟んだ遠い異国に住む私たちの胸にも重く響いてくる。

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