1988年以来、ブランドのスローガンとして「JUST DO IT.」(とにかくやれ)を掲げてきたナイキ。
そんなナイキが「Don’t Do It.」という動画を公開した。
ナイキがこれまでの「JUST DO IT.」と真逆の言葉を打ち出した背景には、人種差別に対する社会の怒りがある。
5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで白人警官デレク・ショービン(Derek Chauvin)に命を奪われたジョージ・フロイド(George Floyd)さんの事件への怒りは頂点に達し、各地で抗議運動が拡大中だ。
NBAロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズやゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーHCなど、多くのスポーツ選手、著名人もSNSを通じて抗議の声を上げている。
そんな中、ナイキはいち早く人々の怒りに呼応する姿勢を鮮明にした。
ナイキはTwitter上で「Let’s all be part of the change.」(直訳すると、「変化の一員になろう」)という言葉とともに以下の動画を公開した。
Let’s all be part of the change.#UntilWeAllWin pic.twitter.com/guhAG48Wbp
— Nike (@Nike) May 29, 2020
動画に流れる「するな」というメッセージの内容は以下の通り。
もう、やめろ
アメリカに問題がないかのように振る舞うのはやめろ
人種差別から目をそらすな
無垢な命が失われることを受け入れるな
これ以上、言い訳をするな
自分は無関係だと考えるな
傍観するな。沈黙するな
自分には変えられないなどと思うな
わたしたちが変えよう
アメリカではこれまでにも白人警官の過剰な行為によりアフリカン・アメリカンの命が失われる事件が繰り返されてきた。
今年3月には、26歳の黒人女性ブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)さんが自宅へ突入してきた警察によって射殺された。テイラーさんは非武装だった。
2月には、ランニングをしていた25歳の黒人男性アフマド・アーベリー(Ahmaud Arbery)さんが白人警官によって射殺されている。
現代は、影響力が大きい企業であればあるほど、社会問題から距離を置くのが難しい時代だ。
ナイキはいち早く反レイシズムの姿勢を鮮明に打ち出し、声を上げる人々への連帯を示した。