身長の高い選手が有利とされるバスケットボール。中でも世界最高峰のリーグであるNBAには2mを超える高身長の選手が揃っています。
そんなNBA選手たちの平均身長はどのくらいなのでしょうか。以下、NBAの平均身長の推移、高身長選手、低身長選手のランキングを紹介します。
NBAの平均身長の推移
まずはNBAの平均身長の推移を見ていきましょう。Basketball-Reference.comのデータを元に、シーズンを5年区切りでグラフにまとめました。
統計が確認できる1951-1952シーズンのNBAの平均身長は193cm(6フィート 4インチ)。そこから徐々に伸びていき、1980-1981シーズンに約201cm※(6フィート 7インチ)になります。
※6フィート 7インチ=200.66cmを四捨五入しています。
1980-1981シーズンから2017-2018シーズンまで40年弱の間、NBAの平均身長は201cm(6フィート 7インチ)で推移していきます。
この数字が変化したのが2018-2019シーズン。平均身長が198cm(6フィート 6インチ)と1インチ低くなりました。2019-2020シーズンも前年に引き続き平均身長は198cm(6フィート 6インチ)となっています。
近年のNBAはスモールボールが多く用いられる傾向にあります。機動力とアウトサイドシュートを重視し、比較的身長の低い選手を揃える戦略です。特徴的な例が2019-2020シーズンのヒューストン・ロケッツ。ロケッツはそれまで先発センターを務めていたクリント・カペラ(208cm)をトレードし、スターター全員が198cm(6フィート 6インチ)以下のメンバーを揃えた超スモールボールでシーズン後半を戦いました。
ロケッツはかなり極端な例ですが、今後のNBAではいくら身長が高くても機動力がなければ生き残れないという流れが強まってくることが予想されます。
参考:NBA League Averages – Per Game | Basketball-Reference.com
NBA 長身選手ランキングTop5
前述の通り、NBAの平均身長は60年近く198cm〜201cmの間で推移しています。他のスポーツと比較しても平均で2mを越すというのはかなり特殊な世界なわけですが、そんなNBAの歴史の中でも特に背の高かった長身選手トップ5を紹介します。
1位:ジョージ・ミュアサン(Gheorghe Mureșan)231cm
NBAの歴史上最も背の高かった選手はルーマニア出身のジョージ・ミュアサン(ゲオルゲ・ムレシャン)です。身長は231cm(7フィート 7インチ)。ちょうど私がNBAを見始めた90年代にプレイしていた選手で、ワシントン・ブレッツ(現ウィザーズ)では主力として活躍しました。
▼「iPhone XS Max」のサイズ感を伝えることに利用されるミュアサン
1位:スラヴコ・ヴラネス(Slavko Vraneš)231cm
ミュアサンと同じ231cmの選手にモンテネグロのスラヴコ・ヴラネスがいます。彼はNBAで1試合しかプレイしていません。ランキングに入れるのは微妙かもしれませんが一応NBA選手なのでミュアサンと同身長で1位となります。
3位:ショーン・ブラッドリー(Shawn Bradley)229cm
231cmの2人に続くのは229cm(7フィート 6インチ)の選手たち3人。細かく計測すればそれぞれに差があるのでしょうが、ここでは同身長で3位としておきます。
その中の1人がショーン・ブラッドリー。ミュアサンと同じく90年代にNBAでプレイした選手で、通算832試合に出場しました。1996-97シーズンにはブロック王に輝いています。7フィート 5インチ以上の選手の中では最も長い間NBAに定着した選手です。
3位:ヤオ・ミン(Yao Ming)229cm
中国が誇るレジェンド、ヤオ・ミンも229cm。2002年のNBAドラフトでヒューストン・ロケッツから全体1位指名を受けた際には多くのファンが首を傾げましたが、キャリアを通じて8度のオールスターに選ばれるなどフランチャイズプレイヤーとして活躍。これだけの身長にもかかわらずフットワークが軽く、シュートも上手でした。
晩年は怪我に悩まされ、長くNBAで活躍することはできませんでしたが、キャリア平均19.0得点、9.2リバウンド、1.9ブロックの成績はアジア最高のプレイヤーと呼ばれるにふさわしい数字と言えるでしょう。
3位:マヌート・ボル(Manute Bol)229cm
マヌート・ボルは1980年代から90年代にかけてNBAでプレイした選手で、ミュアサンやブラッドリーらと共に長身選手の代名詞的存在でした。キャリア通算624試合に出場し、2度のブロック王に輝いています。
2010年に急性腎不全で他界。息子のボル・ボル(218cm)はNBAドラフト2019で2巡目44位指名を受け親子揃ってのNBA入りとなりました。
ということで、NBAの長身選手ランキングトップ5は以下の通りです。
- ジョージ・ミュアサン(231cm)
- スラヴコ・ヴラネス(231cm)
- ショーン・ブラッドリー(229cm)
- ヤオ・ミン(229cm)
- マヌート・ボル(229cm)
ちなみに現役の長身選手には、タコ・フォール(226cm)、ボバン・マリヤノヴィッチ(224cm)、クリスタフ・ポルジンギス(221cm)らがいます。
NBA 低身長選手ランキングTop5
平均身長が約2mのNBAの中で、低身長ながら活躍した選手も少なくありません。
NBAの歴代低身長ランキングTop5を紹介します。
1位:マグジー・ボーグス(Muggsy Bogues)160cm
NBAの歴史上、最も背が低い選手は90年代、主にシャーロット・ホーネッツで活躍したマグジー・ボーグズで身長は160cm(5フィート 3インチ)。当時はリーグの顔の1人として人気も高く、マイケル・ジョーダンが主演した映画「スペースジャム」にも出演しました。キャリア通算889試合に出場。170cm以下の選手の中では最も多くの試合をNBAでプレイした選手となります。
引退後は指導者としても活動しており、日本ではNHKの『奇跡のレッスン~世界の最強コーチと子どもたち~』に出演して話題となりました。
2位:アール・ボイキンス(Earl Boykins)165cm
マグジー・ボーグスの次に身長の低かったNBA選手は10年以上の間NBAのチームに在籍したアール・ボイキンスで、身長は165cm(5フィート 5インチ)。
主にベンチからの出場でしたが、キャリア通算で652試合でプレイしNBAに確固たる足跡を残しました。
3位:メル・ハーシ(Mel Hirsch)168cm
NBAの歴代低身長ランキング第3位は168cm(5フィート 6インチ)のメル・ハーシ。マグジーボーグズが登場するまでの40年以上、NBAの歴代最低身長選手でした。
1946-47シーズンにボストン・セルティックスで13試合プレイしています。
4位:ワット・ミサカ(Wataru Misaka)170cm
NBAの歴代低身長ランキングの4位は170cm(5フィート 7インチ)の選手たち。同身長で何人かいますが、ここではその中から2人をピックアップしました。
1人目は日系アメリカ人2世のワット・ミサカ。日本にルーツを持つ初めてのNBA選手であるとともに、非白人として初めてNBAのコートでプレイした選手でもあります。
1947-48シーズンにニューヨーク・ニックスで3試合プレイしました。2019年11月20日に他界。
▼亡くなった2019年には八村塁の試合に訪れ言葉を交わしました。
What moment.
Rui Hachimura just met the first non-white and first player of Asian descent, Wat Misaka after shootaround. 96 years old. @ZagMBB pic.twitter.com/2DKrhcyqH2
— Alyssa Charlston (@Alyssacharlston) March 20, 2019
4位:スパッド・ウェブ(Spud Webb)170cm
ワット・ミサカと同身長の170cmで4位となったのは、1980年代から90年代後半にかけてNBA通算814試合に出場したスパッド・ウェッブ。キャリア平均9.9得点、5.3アシストという数字を残しています。
多くの人に強烈な印象を残したのは、1986年のスラムダンクコンテストです。スパッド・ウェブは次々に難易度の高いダンクをやってのけチャンピオンに輝きました。その姿はファンに衝撃を与え、当時の映像はスラムダンクコンテストの名場面として現在まで繰り返し流されています。
▼スラムダンクコンテストでチャンピオンに輝いたスパッド・ウェブ
- マグジー・ボーグス(160cm)
- アール・ボイキンス(165cm)
- メル・ハーシ(168cm)
- ワット・ミサカ(170cm)
- スパッド・ウェブ(170cm)
上記の選手の他に身長の低かった選手としては日本出身者初のNBA選手となった田臥勇太(173cm)、3度のスラムダンクチャンピオンに輝いたネイト・ロビンソン(175cm)らがいます。
以上、NBAの身長にまつわる数字や選手について紹介しました。