キャリア通算3ポイント成功率歴代1位の記録を持つスティーブ・カー。ブルズの後期スリーピートに貢献したのち、スパーズで2度の優勝に輝きました。引退後、解説者を経てゴールデンステイト・ウォリアーズのヘッドコーチに就任。ステフィン・カリーを中心としたチームで3度の優勝を果たしています(2020年現在)。
以下、スティーブ・カーのプロフィール、経歴、スタッツ(成績)をまとめました。
スティーブ・カーのプロフィール
- 本名:ステフィン・ダグラス・カー(Stephen Douglas Kerr)
- 生年月日:1965年9月27日
- 身長:185cm(6フィート 1インチ)
- 体重:82kg(180lb)※現役時
- 背番号:4 / 5 / 2 / 25
- シュート:右手
- 出身地:レバノン ベイルート県ベイルート
- 出身大学:アリゾナ大学
- 所属チーム: シカゴ・ブルズ / サンアントニオ・スパーズ他
- ポジション:PG(ポイント・ガード)
- NBAドラフト:1988年2巡目50位
- コーチ歴:ゴールデンステイト・ウォリアーズ(2014〜)
受賞歴・実績
選手として
NBAチャンピオン | 5回 |
---|---|
スリーポイントコンテスト優勝 | 1回(1997) |
FIBAワールドチャンピオンシップ | 金メダル1つ(1986) |
コーチとして
NBAチャンピオン | 3回 |
---|---|
NBA最優秀ヘッドコーチ | 1回(2016) |
NBAオールスターヘッドコーチ | 2回(2015, 2017) |
経歴
生い立ち

Via:ESPN
スティーブ・カーは1965年9月27日、レバノンの首都ベイルート生まれ。父・マルコム・カー(Malcolm H. Kerr)は中東を専門とする研究者。祖父・スタンリー・カー(Stanley Kerr)は人道主義者・臨床生化学者であった。
エジプトの高校で本格的なバスケットボールを始めたスティーブはアリゾナ大学に入学した直後の1984年1月、アメリカン・ベイルート大学の学長を務めていた父・マルコムがイスラム過激派に殺害されるという悲劇に見舞われる。悲嘆に暮れるスティーブを支えてくれたのはイスラム教徒の友人たちだった。このような経験もあり、スティーブ・カーは9.11の同時多発テロ以降、イスラムフォビア(イスラム教徒への恐怖・憎悪・偏見)が蔓延するアメリカ国内において、イスラム教徒を一括りにして危険視する傾向に対して警鐘を鳴らし続けている。
アリゾナ大学
スティーブ・カーは1983年、アリゾナ大学に入学し1988年までプレイ。1986年には、FIBA World Championshipのアメリカ代表に選出され金メダルを獲得。1987-88シーズンには、のちにスパーズで活躍したショーン・エリオットとともにアリゾナ大をNCAAトーナメントでファイナル4に導いた。同シーズンの3ポイント成功率57.3%(114/199)はNCAAレコード。
1988年に行われたライバルチームであるアリゾナステイト大戦では、相手ファンから「PLO」(パレスチナ解放機構の略)といった自身の生い立ちを侮辱する差別的なチャントを浴びることもあった。
NBA
キャリア初期
1988年のNBAドラフト2巡目50位指名でフェニックス・サンズに入団。1年目は26試合に出場。翌シーズンにクリーブランド・キャバリアーズにトレードされる。クリーブランドで3シーズン過ごした後、1992-93シーズン途中にオーランド・マジックに移籍。キャリア初期は出場機会が限られたものの3ポイント成功率が5割を超えるシーズンもあり、シューターとしての才能は見せていた。
シカゴ・ブルズ|3ピートに貢献
1993年、フィル・ジャクソン率いるシカゴ・ブルズに移籍。シカゴでは全試合ベンチスタートとなったが、マイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマンらを擁するNBA史に残る最強チームの中で貴重なシューターとして存在感を示す。1997年のNBAファイナル第6戦では、試合時間残り3秒でマイケル・ジョーダンのパスから3ポイントを沈め優勝を決定づける活躍を見せた。
サンアントニオ・スパーズ
ブルズでの3ピート達成後、1998-99シーズンにグレッグ・ポポビッチ率いるサンアントニオ・スパーズに移籍。移籍初年度に優勝し、個人としてNBA4年連続優勝を果たす。ポートランド・トレイルブレイザーズでの1年を挟んでスパーズでは4シーズンプレイし、引退シーズンとなった2002-03シーズンにも優勝。キャリアで5度の優勝を経験した。
▼【スティーブ・カー】ブルズで72勝10敗を記録した95-96シーズンのハイライト動画
コーチ時代
選手を引退したスティーブ・カーはテレビの解説者として活動。フェニックス・サンズでゼネラル・マネージャーの仕事も経験した。
2014年5月にゴールデンステイト・ウォリアーズのヘッドコーチに就任。ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンらを率いて就任初年度にNBAチャンピオンに輝いた。
2015-16シーズンは背中の手術によりシーズン序盤を休養。ルーク・ウォルトンアシスタントコーチが指揮し39勝4敗と快進撃を続けたウォリアーズはカー復帰後もその勢いを衰えさせることなくシーズン73勝9敗のNBAレコードを樹立。カーが選手としてプレイした1996年のシカゴ・ブルズが達成した72勝10敗の記録を塗り替えた。その年のNBAファイナルではレブロン・ジェームズのキャブスに敗れて連覇はならなかったものの、カーはNBA最優秀コーチに選出された。
2016-17シーズンにウォリアーズはケビン・デュラントを獲得。同シーズンから2連覇を達成した。
スタッツ(成績)
※ | 優勝シーズン | 太字 | キャリアハイ | 青色 | リーグ1位 | 黄色 | NBA歴代1位 |
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レギュラーシーズン
シーズン | チーム | 試合 | 先発 | 時間 | FG% | 3P% | FT% | RPG | APG | SPG | BPG | 得点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
88–89 | PHX | 26 | 0 | 6.0 | .435 | .471 | .667 | .7 | .9 | .3 | .0 | 2.1 |
89–90 | CLE | 78 | 5 | 21.3 | .444 | .507 | .863 | 1.3 | 3.2 | .6 | .1 | 6.7 |
90–91 | CLE | 57 | 4 | 15.9 | .444 | .452 | .849 | .6 | 2.3 | .5 | .1 | 4.8 |
91–92 | CLE | 48 | 20 | 17.6 | .511 | .432 | .833 | 1.6 | 2.3 | .6 | .2 | 6.6 |
92–93 | CLE | 5 | 0 | 8.2 | .500 | .000 | 1.000 | 1.4 | 2.2 | .4 | .0 | 2.4 |
92–93 | ORL | 47 | 0 | 9.4 | .429 | .250 | .909 | .8 | 1.3 | .2 | .0 | 2.6 |
93–94 | CHI | 82 | 0 | 24.8 | .497 | .419 | .856 | 1.6 | 2.6 | .9 | .0 | 8.6 |
94–95 | CHI | 82 | 0 | 22.4 | .527 | .524 | .778 | 1.5 | 1.8 | .5 | .0 | 8.2 |
95–96※ | CHI | 82 | 0 | 23.4 | .506 | .515 | .929 | 1.3 | 2.3 | .8 | .0 | 8.4 |
96–97※ | CHI | 82 | 0 | 22.7 | .533 | .464 | .806 | 1.6 | 2.1 | .8 | .0 | 8.1 |
97–98※ | CHI | 50 | 0 | 22.4 | .454 | .438 | .918 | 1.5 | 1.9 | .5 | .1 | 7.5 |
98–99※ | SAS | 44 | 0 | 16.7 | .391 | .313 | .886 | 1.0 | 1.1 | .5 | .1 | 4.4 |
99–00 | SAS | 32 | 0 | 8.4 | .432 | .516 | .818 | .6 | .4 | .1 | .0 | 2.8 |
00–01 | SAS | 55 | 1 | 11.8 | .421 | .429 | .933 | .6 | 1.0 | .3 | .0 | 3.3 |
01–02 | POR | 65 | 0 | 11.9 | .470 | .394 | .975 | .9 | 1.0 | .2 | .0 | 4.1 |
02–03※ | SAS | 75 | 0 | 12.7 | .430 | .395 | .882 | .8 | .9 | .4 | .0 | 4.0 |
通算 | 910 | 30 | 17.8 | .479 | .454 | .864 | 1.2 | 1.8 | .5 | .1 | 6.0 |
プレイオフ
シーズン | チーム | 試合 | 先発 | 時間 | FG% | 3P% | FT% | RPG | APG | SPG | BPG | 得点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1990 | CLE | 5 | 0 | 14.6 | .286 | .000 | .000 | 1.2 | 2.0 | .8 | .0 | 1.6 |
1992 | CLE | 12 | 3 | 12.4 | .439 | .273 | 1.000 | .5 | .8 | .4 | .0 | 3.7 |
1994 | CHI | 10 | 0 | 18.6 | .361 | .375 | 1.000 | 1.4 | 1.0 | .7 | .0 | 3.5 |
1995 | CHI | 10 | 0 | 19.3 | .475 | .421 | 1.000 | .6 | 1.5 | .1 | .0 | 5.1 |
1996※ | CHI | 18 | 0 | 19.8 | .448 | .321 | .871 | 1.0 | 1.7 | .8 | .0 | 6.1 |
1997※ | CHI | 19 | 0 | 17.9 | .429 | .381 | .929 | .9 | 1.1 | .9 | .1 | 5.1 |
1998※ | CHI | 21 | 0 | 19.8 | .434 | .463 | .818 | .8 | 1.7 | .3 | .0 | 4.9 |
1999※ | SAS | 11 | 0 | 8.8 | .267 | .231 | .833 | .8 | .7 | .2 | .0 | 2.2 |
2001 | SAS | 9 | 0 | 11.2 | .480 | .333 | .500 | 1.0 | .7 | .4 | .1 | 3.3 |
2002 | POR | 3 | 0 | 13.0 | .429 | .250 | 1.000 | 1.3 | 1.7 | .3 | .0 | 6.3 |
2003※ | SAS | 10 | 0 | 4.6 | .636 | .833 | .750 | .3 | .6 | .1 | .0 | 2.2 |
通算 | 128 | 3 | 15.6 | .426 | .370 | .876 | .9 | 1.2 | .5 | .0 | 4.3 |
参照:Steve Kerr Stats | Basketball-Reference.com
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